2008 | Media Gate

計画・設計の基本理念

大学図書館は今日の高度情報化・生涯学習社会における「知の象徴」であると同時に、大学教育における「知のメディアセンター」である。

本施設の計画・設計にあたっては、大学図書館の今日的役割を認識した上で、植草学園 小倉キャンパス内にM棟[ 通称Media Gate] として

計画・設計を行った。

配置計画では、1) キャンパス内の既存施設からアクセスしやすく、かつ学生や地域の住民を含む多くの人々が利用できる「ユニバーサル

アクセス」環境が実現されること、2) 学生の日常生活の中で「知の拠点」として図書館の存在を自然に認識できること、3) 図書館内での

個人・グループ学習・研究・交流等、「知の探求」活動が相互に確認・刺激し合える空間構成であること、以上のような理念を掲げ

これらを具現化するべくスタディを重ね、キャンパス主要動線に面する正門右側エリアに配置した。なお、正門左側には学生に愛され

続けている既存樹木 “3 本の桜” があり、M 棟正面アプローチをその延長線上に配し、M棟各階からシンボルツリーの桜を愛でることが可能である。

□ 大学図書館機能・空間構成と計画・設計の考え方

1.必要機能・付帯機能と空間構成

  M棟1階正門側にはインフォメーションを兼ねた守衛室が配置され、キャンパスセキュリティーのシンボルとなっている。

  1階Left Wing には各種利用に供する中講義室、就職・進学・資格取得等の情報提供を行うキャリア支援室、1階中央部にはミニコンサートの

  開催を想定したグランドピアノコーナーとピアノレッスン室のある音楽メディアゾーン、1階Right Wing 及び2階には主用途の図書館が

  配置されている。3階には円形の「さくらホール(定員300 名)」があり、学内教育活動・イベントの他、公開講座・地域開放等での利用が

  想定されている。

  なおサクラホールへはポーチ左右の階段から直接アクセス可能な他、ELV でのバリアフリーアクセスが可能となっている。

2.図書館各部機能と計画・設計の考え方

  図書館の収蔵計画としては5万5千冊(開架書庫及び集密書庫)を設定し、将来的な蔵書増に対してはM 棟西側に増築スペースを想定し

  2階レベルで接続できる計画とした。図書館1階にはインフォメーションディスプレイ、蔵書検索端末コーナー、情報交流ラウンジ(軽読書・

  交流スペース)、管理諸室等が配置されている。

  情報交流ラウンジ上部は吹き抜けとなっており、2 層のガラスカーテンウォールと吹き抜け効果により、開放的かつ快適な空間が提供されている。

  2階図書館中央には総合案内カウンターを配置し、開架書庫と閲覧席を平面的に近接させながら、学習キャレル、個人ブース、グループ学習室等を

  周囲に配置している。

  2室あるグループ学習室(PC・AV 対応)は、知識や情報を共有する場「ラーニングコモンズ」として運用されている。

  2階吹き抜け空間に面してPC 利用可能な個人閲覧カウンターが設置されているが、これは利用者の「知的活動」「学習風景」が視覚的な

  環境情報として図書館前を通る学生・教職員に向けて発信されることを強く意図したものである。

 [協働:東海大学 山﨑俊裕 研究室]

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